ECサイト運営企業が注意すべき“チャージバック”について

情報セキュリティ

ECサイトのほとんどは、ユーザーによるクレジットカード決済に対応しています。
また、クレジットカード決済には“チャージバック”というものが存在しますが、こちらはECサイト運営企業にとってリスクのある仕組みです。
ここからは、チャージバックの概要や対策などについて解説したいと思います。

チャージバックの概要

ECサイトにおいて確認された特定の売上を、クレジットカード会社が取り消すことをチャージバックといいます。
こちらは、ECサイトのユーザーを保護するための仕組みであり、主にクレジットカードの不正利用が行われたとき、そのカードの名義人がカード会社に対し、支払いを拒否することで発生します。
また、こちらが発生すると、ECサイト運営企業は、取り消された分の売上だけでなく、すでにクレジットカードを不正利用した人物に届いている商品も回収できなくなる可能性が高いです。
つまり、ECサイト運営企業からすれば、犯罪者に対して無料で商品を提供するような形になってしまうということです。
もちろん、ユーザーを保護するためにこのような仕組みがあるのは致し方ないことですが、頻繁にチャージバックが発生することにより、運営企業の損失が膨らんでしまうのは事実です。

近年チャージバックが増加している理由

近年、チャージバックの件数は増加傾向にあります。
その理由としては、まずネットショッピングを利用する方が以前より増えたことが挙げられます。
ECサイトでのクレジットカード決済は、効率良くポイントを貯めたい方や、コロナの影響でショッピングに出掛けられない方に幅広く支持されています。
また、チャージバック増加の背景には、ECサイトユーザー全体における高齢者の割合が増えたこともあります。
高齢者の方は、フィッシングやスミッシングといった攻撃のターゲットになりやすく、クレジットカード情報を窃取され、不正利用されるケースも少なくありません。

チャージバックが発生する原因

冒頭で、チャージバックが行われるのは、主にクレジットカードの不正利用が発生したときだという話をしました。
では、このチャージバック発生の原因について、もう少し詳しく見てみましょう。
正確に言うと、チャージバック発生の原因は、クレジットカードの不正利用とそれ以外の2つに分かれます。

クレジットカードの不正利用

何らかの理由により、クレジットカード情報が漏えいし、不正利用されるというのが、チャージバック発生のもっとも多い原因です。
例えば、フィッシングの被害に遭ったり、ウイルスに感染したりすると、カード決済に必要なクレジットカード番号、セキュリティコードといった情報が窃取されてしまいます。
また、クレジットカードそのものを物理的に盗まれたり、紛失したものを拾われたりして、不正利用されることもあり、こちらもECサイトにおけるチャージバック発生の原因となります。

クレジットカードの不正利用以外

クレジットカードの不正利用がなくても、カード会社によるチャージバックが実施される可能性はあります。
例えば、ユーザーが商品を購入したにもかかわらず、ECサイトが発送を滞らせてしまった場合、ユーザーからクレジットカード会社への要望があり、チャージバックが行われます。
こちらは、主にECサイトにおける顧客情報の管理体制が整っていないことが原因です。
また、その他には、ECサイトにおける商品の欠陥や不具合も、チャージバックにつながる可能性があります。
ユーザーは、ECサイトにおいて事前に情報をチェックし、商品を購入しますが、掲載されている情報と実際届いた商品に相違があったり、正しく動作しなかったりする場合、支払を拒否されることが考えられます。

チャージバックが起こらないための対策

ECサイト運営企業にとって、チャージバックは経済的な損失につながるものです。
もちろん、ユーザーの信頼を失うことにもつながるため、できる限り避けなければいけません。
ECサイト運営企業側でできるチャージバックへの対策としては、とにかくクレジットカードの不正利用を防止することが挙げられます。
例えば、本人認証サービスを導入すれば、たとえカード情報が漏えいしたとしても、事前に設定されたパスワードを入力しない限り、カードの不正利用が行われることはありません。
そもそも、ECサイト運営企業は、クレジットカード会社との加盟店契約上、名義人の本人確認を行わなければいけないことが定められているため、こちらは必ず導入しましょう。
ちなみに、もし本人認証サービスを導入した状態で、クレジットカードの不正利用、チャージバックが発生したとしても、ECサイト運営企業が損失を負担する必要はありません。
このような場合は、基本的にクレジットカード会社が損失を負担することになります。

まとめ

ここまで、近年増加傾向にあるチャージバックの概要や原因、対策などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
チャージバックは、ユーザーを守るためになくてはならない仕組みですが、ECサイト運営企業からすれば、事前に対策を取り、なるべく発生することは避けたいものです。
今一度、カード不正利用のリスクが高くないか、顧客情報の管理体制に問題がないかについては、チェックしておくべきでしょう。

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