なぜセキュリティ担当者が育たない企業は多いのか?

情報セキュリティ

企業の中には、なかなか人材が育たず結局は退職してしまい、いつまで経ってもセキュリティ担当者を確立できないというところも少なくありません。
では、企業においてセキュリティ担当者が育たない理由とは、一体何なのでしょうか?
前述のような悩みを抱える企業は、ぜひ参考にしてください。

セキュリティ担当者が育たない理由は何か?

人材が不足しがちな中小企業だけに限らず、大手企業にもセキュリティ担当者が育たないところは多くあります。
その理由としては、主に以下のことが挙げられます。

必要なスキルの取捨選択ができていない

一口にセキュリティ担当者といっても、担当しなければいけない分野は非常に多岐にわたります。
したがって、まず企業はセキュリティ担当者に対して、どのようなスキルを求めるのかを考えなければいけません。
すべての分野に対応させようとしてしまうと、負担が大きくなってしまいますからね。
また、担当者に求めるスキル、企業に求めるセキュリティ像を決定するには、数百種類以上にも及ぶスキル項目から取捨選択する必要がありますが、この段階に移る前に、まずそれぞれの中身を理解しなければいけません。
この作業がイマイチできていない企業が多いことが、セキュリティ担当者がなかなか育たない理由の1つと言えるでしょう。

担当者が忙しすぎる

中小企業の多くは、人材不足に悩んでいます。
そのため、大手企業よりもセキュリティ担当者の負担が大きくなる傾向にあります。
ただ、担当者の負担が大きくなると、自身の業務をこなすことで精一杯になってしまい、なかなか能力を高めるために時間を割けません。
また、このような企業は、他の部門においても人材が不足しているケースが多く、担当者育成プランも構築されていない可能性が高いです。
もっと言えば、同じような理由から、セキュリティ対策が後追いになってしまい、根本的な解決には至らないというケースも多く見られます。

担当者を設置するだけで満足している

先ほど、人材が不足している企業では、セキュリティ担当者の育成プランが構築されていないことが多いという話をしました。
また、もっと劣悪な環境の企業では、担当者の教育係もおらず、すべてを一任している場合もあります。
一任と言えば聞こえは良いかもしれませんが、これは言ってしまえばただの“丸投げ”です。
これは、外部からセキュリティ担当者としての人材を招き入れる企業によく見られるケースで、“担当者を設置した”ということだけで満足するという典型的な例ですね。
このような環境では、担当者は育たないどころか、自身がこなすべき業務すらおろそかになってしまう可能性があります。

将来有望な人材の退職を防ぐには?

将来有望なセキュリティ人材が在籍しているにも関わらず、企業の体制が悪いせいで退職してしまうというのは、非常にもったいないことです。
なぜなら、そのような優秀な人材が、将来的に企業のセキュリティ担当者として活躍してくれる可能性があるからです。
では、企業はそのような人材の退職を防ぐために、どんな工夫をすればいいのでしょうか?

スキルアップの研修等を用意する

たとえ将来有望なセキュリティ人材であっても、やはりスキルアップをする機会がなければ、退職してしまう可能性は上がります。
なぜかと言うと、スキルアップしなければ企業内での昇進はなかなかありませんし、給与も上がっていかないからです。
したがって、企業は今後ポストを用意したいと考えるセキュリティ人材に対して、積極的にスキルアップの機会を与えていきましょう。

高度なセキュリティに携わらせる

優秀なセキュリティ人材の多くは向上心が強く、高度なセキュリティに携わりたいと考える方も多いです。
そのため、企業はセキュリティ人材のスキルや性格を見ながら、少しずつ与える業務の重要性を上げていきましょう。
そうすることでモチベーションアップに繋がりますし、「企業から信頼されている」と感じてもらいやすくなります。

優れたセキュリティ担当者になれる人材の性格

豊富な知識とスキルがないと、当然優れたセキュリティ担当者にはなれません。
また、以下のような性格でなければ、なかなか企業のセキュリティ部門を統率することはできないでしょう。

 細かい点を見逃さない
企業がセキュリティ被害に遭うと、社会や取引先における信頼を失ってしまいます。
そのため、セキュリティ担当者は、細かい点を見逃さず、企業のニーズに沿って機器の設定などを正確に行う必要があります。

 自ら積極的に学ぶ
セキュリティ環境は日々変化するため、自主的に学ぶ性格でないと担当者は務まりません。

 困難にくじけず最後までやり通す
担当者は、セキュリティ関連のトラブルが発生した際には解決し、原因究明や再発防止の対策を取るまで業務が終わりません。
そのため、最後までやり通せる性格の方が向いています。

まとめ

企業のセキュリティ担当者は、形だけ設けても何の意味もありません。
段階的に必要な環境を整え、その上で優秀なセキュリティ人材に任せることで、初めて存在意義が生まれるものです。
したがって、本格的に企業体制を見直さなければ、いつまで経っても確立させることはできないのです。
企業上層部の方は、このことをしっかり覚えておいてください。

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