厄介なソフトウェアである“グレイウェア”について

サイバー攻撃

世の中には、個人や企業にとって対応しづらい数々の脅威が存在します。
今回解説する“グレイウェア”もその1つであり、概要や対策について知っておかなければ、厄介な事態に巻き込まれるかもしれません。
したがって、詳細を把握してないという方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。

グレイウェアの概要

パソコンやスマートフォンを不正に操作したり、媒体内のデータを削除したりする極めて悪質なソフトウェアを“マルウェア”といいます。
これに関しては、多くの方がご存知でしょう。
一方、問題のないソフトウェアと、上記の悪質なマルウェアの間に位置するソフトウェアが、今回解説する“グレイウェア”です。
白(正規)でも黒(悪質)でもない“グレイ”なソフトウェアであることから、この名前が付いています。
また、実はグレイウェアは数十年前から存在しているソフトウェアであり、近年はパソコンだけでなくスマートフォンやタブレットの普及が拡大したことから、再び注目されることになりました。

侵入されるとどんな影響が出るのか?

グレイウェアは、知らず知らずのうちにパソコンやスマートフォン、タブレットなどの中に入り込みます。
なぜなら、正規のソフトウェアやアプリケーションの中に含まれているケースも多いからです。
また、端末内にグレイウェアが入り込んでしまった場合には、以下のような影響が出ることが考えられます。

 不必要な広告を表示される
 処理速度を落とされる
 勝手に情報を外部に送信させられる

見ていただければわかるように、グレイウェアの侵入による影響は、決して大きなものではありません。
特に、不必要な広告の表示や処理速度の低下は、デバイスのデータ等が壊れたり、改ざんされたりすることには繋がらず、ただただストレスが溜まるものです。
しかし、勝手に個人情報等を外部に送信させられることは、後々大きな影響が出る可能性もあります。
したがって、グレイウェアが危険な一面を持つソフトウェアであることは事実なのです。

どんなタイプがある?

では、ここからはグレイウェアの特徴をタイプ別に見ていきましょう。

①アドウェア
本来アドウェアとは、ソフトウェアを無料で使用できる代わりに広告を表示するソフトをいいます。
無料のアプリゲームなどでよく見られるものですね。
ただ、アドウェアの中には、グレイウェアが含まれている場合もあります。
具体的には、異常なほどの頻度で広告が表示されたり、悪質なサイトに誘導したりするようなものが挙げられます。

②スパイウェア
パソコン等で集めた情報を、外部に送信してしまうソフトウェアです。
まるでスパイのように情報を集めることから、こう呼ばれています。
スパイウェアは、マーケティング情報を集めてユーザーの意識、ニーズを理解する目的など、クリアな使い方をされる場合もありますが、近年はバックドアの作成やログ改ざん、個人情報の窃取などを目的としたものが主となっています。
また、正規のソフトウェアに含まれるスパイウェアは、クリアな使い方なのか悪質な使い方なのかが判断しづらい、まさにグレイなものとなっています。

③マッドウェア
特に広告関連の機能を悪用し、個人情報を窃取するなどの不正行為、迷惑行為を行うソフトウェアです。
今から7年ほど前に流行したもので、アドウェアよりも悪質であり、主にAndroidアプリにおける不正なモバイルアプリのことを指しています。

なぜグレイウェアは厄介なのか?

グレイウェアが厄介なソフトウェアである理由は2つあります。
1つは、“ウイルス対策ソフトで防げない”という理由です。
先ほども解説したように、グレイウェアは白でも黒でもないソフトウェアです。
したがって、ウイルス対策ソフトに不正なものとして認識されず、検知されないことも少なくありません。
また、もう1つの理由としては、“ソフトウェアやアプリの配布側が規制できない”ということも挙げられます。
例えば、iOSの公式アプリストアである“Apple Store”、Androidの“Google Play”では、ルールに違反した悪質なアプリに対して配布規制がかけられます。
ただ、グレイウェアはそれほど大きな被害をもたらすものではないため、すべてにアプリをルール違反とみなし、規制することはできないのです。
つまり、マルウェア等が“犯罪”であるなら、グレイウェアは“イタズラ”程度の扱いになってしまうということです。

どんな対策がある?

グレイウェアへの対策としては、まずとにかく“怪しいソフトウェア、アプリをダウンロードしない”ということが挙げられます。
そうすれば、知らず知らずのうちに媒体内に侵入される可能性は低くなります。
また、グレイウェアには脆弱性をターゲットにするものも多いため、OSやソフトウェア、アプリのアップデートも忘れてはいけません。

まとめ

今回は、白でも黒でもない“グレイウェア”について解説しました。
これは単体で猛威を振るうものではありませんし、侵入されたところで大きな影響が出る可能性は低いです。
ただ、企業は情報の流出が後々大きな不利益に繋がる可能性も考えられるため、社用デバイスでダウンロードするソフトウェア、アプリは最小限に抑えることをおすすめします。

タイトルとURLをコピーしました